フリムジフリル

いつかPodcastの話題になりそうなコンテンツの記録

『アンティゴネ』

 『水のはて』レコ発ライブのあと、酩酊して「目が見えなくなった」と言い出したんミィさんに、やはりお酒の入った水面さんが「オイディプス王なんですか?」と謎の確認をしていて、それで僕のほうにオイディプス王が失明するまでを説明してくれたのだけど、「すんません一応演劇かじってるんで存じております。」

 と、そのときは見栄を張ったが、実際は数か月前に岸井大輔さんの講座を受けてようやく知識が身に付いたところである。それはともかく(ライブはとてもよかったです)、講座が終わったあとも勉強を続けないとな~と思い、少なくとも月1本以上は戯曲を読むというノルマを自分に課すことにした。

 『アンティゴネ』は、オイディプス王の物語のその後である。国に背いた兄を弔おうとするオイディプスの娘アンティゴネと、オイディプス亡きあとの王座に就いたクレオンの衝突を通して、神の掟と人間の法の対立が描かれる。権力者に怯まず自らの主張を堂々と声に出す可憐なアンティゴネは、しだいに市民の同情を集め始めて世論を動かす。民主主義の登場からほどなくして、すでにそれがはらむ危うさを指摘しているようである。よって前述の対立はこの作品の中では解決されない。岸井さんの話によると、ソポクレスは遺作『コロノスのオイディプス』においてその解決を提示しているらしいので、そっちも気が向いたら読もうと思う。

 この『アンティゴネ』を下敷きにしたノベルゲーム『アンティゴネアノニマス‐サブスタンス/浄化する帝国』も今月プレイした。むしろ、ずっと積んでいたこのゲームをやるためにまず『アンティゴネ』を読んだというのが実情である。

 ゲームは1時間強でエンディングを迎えられるボリュームでちょうどよく、演劇的体験を感じられる演出があって非常に面白かった(とくに中盤。ネタバレになるからあまり言えないが、ガラッと位相の変わるシーンがあって目が覚めた)。残酷なお話が極度に苦手な人には毒かもしれない。ゲーム作りたいな~。